バラ目 chevron_right バラ科 chevron_right キイチゴ属 chevron_right ニガイチゴ
ニガイチゴ
Rubus microphyllus

 本州から九州までにある山野の林縁や薮、荒れ地に自生しています。樹高は高くて1m程度。茎は基本的に緑色ですが、茶色のまだらが入ったりして均一ではありません。また茎にはろう質の白い粉がつき、細い棘が数多く見られます。葉身は2〜10cmとばらつきますが、花のつく2年生の枝の葉は小さく不分裂葉または浅く五裂する分裂葉がよく見られ、花のつかない1年生の枝の葉は深く3裂する葉を多く確認できます。葉の裏は粉白色を帯び、その脈上や葉柄にも棘があります。4〜5月に咲く白い花は花弁が5枚ありますが、細長く花弁の間に隙間が空くためまるでプロペラのようです。花が咲き終わるといったん萼が閉じ、その中で果実が成熟してから再び萼を開きます。萼の閉じた未熟果は見た目がさながら花の蕾のようです。6〜7月に熟す赤い集合果は甘くておいしいのですが、種子をかみつぶすと苦味が出てきます。[1][2]

著しい生長力

 ニガイチゴは地下茎で横に広がり新たな株を形成して、そこから地上茎を出します。地上茎の寿命は2年で、花を咲かせた2年生の茎は枯れてしまいます。一方で地下茎や株自体は枯れずに残り、地下茎でつながった株同士は水分や栄養成分のやり取りが可能です。ニガイチゴの増殖スピードは著しく、春に植えた1つの株が2年目には50株、3年目には686株までになったとの観察結果があります。その時の占有面積は20mと、かなりの広さです。これは、ニガイチゴは耐陰性が弱く多種に先駆けていち早く勢力を広げて生き残るという戦略をとっているためと考えられています。当種の果実の色は赤色ですが、黄色となるものがあります。兵庫県姫路市の神谷池で発見されキミノニガイチゴ(Rubus microphyllus f. miyakei)と命名されました。[3][4]

参考文献
  1. 茂木透ら(2009)『樹に咲く花―離弁花(1)(第4版)』山と溪谷社
  2. 林将之(2014)『樹木の葉』山と溪谷社
  3. 鈴木和次郎(2021)『キイチゴの世界』日本林業調査会
  4. 鳴橋直弘(2008)『アジア産キイチゴ属の分類学的ノート(2)新品種,キミノニガイチゴ』「植物地理・分類研究」56(1), pp.24-26

Gallery

zoom_in

樹形

宮城県戸神山(May 1, 2021)

本州から九州までにある山野の林縁や薮、荒れ地に自生しています。

zoom_in

樹形

宮城県戸神山(June 4, 2022)

zoom_in

宮城県戸神山(May 1, 2021)

葉身は2〜10cmで、葉の裏は粉白色を帯び、その脈上や葉柄にも棘があります。

zoom_in

宮城県戸神山(July 9, 2022)

zoom_in

宮城県戸神山(July 9, 2022)

zoom_in

宮城県戸神山(May 1, 2021)

4〜5月に咲く白い花は花弁が5枚ありますが、細長いので花弁の間に隙間が空くためまるでプロペラのようです。

zoom_in

宮城県戸神山(May 1, 2021)

zoom_in

宮城県戸神山(May 1, 2021)

zoom_in

宮城県戸神山(May 1, 2021)

zoom_in

果実

宮城県戸神山(July 9, 2022)

熟した赤い集合果は甘くておいしいのですが、種子をかみつぶすと苦味が出てきます。

zoom_in

未熟果

宮城県戸神山(June 4, 2022)

zoom_in

果実

宮城県戸神山(July 9, 2022)

zoom_in

果実

宮城県戸神山(July 9, 2022)

zoom_in

樹皮と棘

宮城県戸神山(July 9, 2022)

茎にはろう質の白い粉がつき、細い棘が数多く見られます。

Property
分 類
和名 ニガイチゴ(苦苺)
別名 ゴガツイチゴ
学名 Rubus microphyllus
バラ目(Rosales)
バラ科(Rosaceae)
キイチゴ属(Rubus)
分布 日本、中国
国内 本州、四国、九州
用途 食用(果実)
特 徴
針広 広葉樹
常落 落葉樹
樹高 低木
葉形 単葉(分裂/不分裂)
葉序 互生
葉縁 鋸歯
雌雄 雌雄同株(両性花)
Search
Family