バラ目 chevron_right バラ科 chevron_right キイチゴ属 chevron_right ベニバナイチゴ
ベニバナイチゴ
Rubus vernus

 北海道南西部から本州中部地方以北の主に日本海側の亜高山帯、湿り気の多い場所に自生している日本固有種です。樹高は1m程度で叢生します。葉は三出複葉で、それぞれの小葉は先が尖ります。葉の両面に軟毛が生えていて、特に葉脈、葉柄、花柄は密生しています。枝は黄褐色で表皮が剥がれやすいです。他のキイチゴと違っていて棘がありません。6〜7月、その名の通り紅紫色の花を下向きに咲かせます。5枚の花弁は2cmほどと大きめで、登山道を歩いている中でもその濃い色もあって目立つ花です。ただし葉の下に隠れることも多いので、株によっては見つけにくいかもしれません。他のキイチゴと同じく果実は集合果で8〜9月に濃い赤色に熟します。食すことができますが、苦味があってまずい、一方では美味しいと人によって感想が異なります。個体によって違うのでしょうか、私が食べた果実は苦味がないものの薄い酸味とかすかに甘みがあるもので、あまり美味しいとは思いませんでした。また種子が大きくて食べにくいです。[1][2][3][4][5]

他のキイチゴとの違い

 ベニバナイチゴの地上茎の上部は、花が咲き、実がなると枯れます。ところが根本近くの茎からまた新しい枝を伸ばして葉を出し、翌年に花を咲かせるそうです。遺伝子の違いからすると、国内に自生している他のキイチゴからベニバナイチゴは離れていて、日本から遠く離れた北米西部のサーモンベリー(Rubus spectabilis)、ハワイ諸島のハワイアンラズベリー(Rubus hawaiensis)に近いことがわかっています。花や葉も似ているそうですが、随分と遠くに近しい親戚がいるものです。[6]

参考文献
  1. 茂木透ら(2009)『樹に咲く花―離弁花(1)(第4版)』山と溪谷社
  2. 林将之(2014)『樹木の葉』山と溪谷社
  3. 梅沢俊(2009)『北海道の高山植物(新版)』北海道新聞社
  4. 清水建美(2002)『高山に咲く花』山と溪谷社
  5. 加藤雅啓ら(2011)『日本の固有植物』東海大学出版会
  6. 鈴木和次郎(2021)『キイチゴの世界』日本林業調査会

Gallery

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樹形

吾妻連峰中大巓(June 20, 2021)

北海道南西部から本州中部地方以北の主に日本海側の亜高山帯、湿り気の多い場所に自生している日本固有種です。

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樹形

八幡平(July 11, 2021)

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吾妻連峰中大巓(June 20, 2021)

葉は三出複葉で、それぞれの小葉は先が尖ります。葉の両面に軟毛が生えていて、特に葉脈、葉柄、花柄は密生しています。

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葉の裏

吾妻連峰与兵衛平湿原(June 20, 2021)

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南蔵王芝草平(June 27, 2021)

6〜7月、その名の通り紅紫色の花を下向きに咲かせます。

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吾妻連峰東大巓(June 20, 2021)

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吾妻連峰与兵衛平湿原(June 20, 2021)

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果実

裏岩手連峰嶮岨森(July 24, 2021)

他のキイチゴと同じく果実は集合果で8〜9月に濃い赤色に熟します。

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未熟果

裏岩手連峰諸桧岳(July 24, 2021)

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吾妻連峰藤十郎(Sep. 19, 2021))

枝は黄褐色で表皮が剥がれやすいです。他のキイチゴと違っていて棘がありません。

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吾妻連峰与兵衛平湿原(June 20, 2021)

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吾妻連峰与兵衛平湿原(June 20, 2021)

Property
分 類
和名 ベニバナイチゴ(紅花苺)
学名 Rubus vernus
(Syn. Rubus spectabilis subsp. vernus)
バラ目(Rosales)
バラ科(Rosaceae)
キイチゴ属(Rubus)
分布 日本
国内 北海道、本州
用途 食用(果実)
特 徴
針広 広葉樹
常落 落葉樹
樹高 低木
葉形 三出複葉
葉序 互生
葉縁 鋸歯
雌雄 雌雄同株(両性花)
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