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ヒメゴヨウイチゴ
Rubus pseudojaponicus

 北海道から本州中部以北の山地や亜高山帯にある針葉樹林内や林縁の湿った土地に自生している日本固有種です。つる性で地をはい、基部は木質化しており、花を咲かせる枝が直立して高さ30cm程度になります。葉は五出複葉で小葉は鋸歯があり、葉裏の特に脈上、葉の表や葉柄には軟毛が生えています。また葉柄の基部には緑色の細い托葉があります。5〜7月ごろ白い花を枝先に1つ上向きに咲かせますが、長さ8mmほどの7枚の花弁は直立して平開しません。一方で6〜7枚の萼は平開します。花弁の内側には、雌しべを隠すかのように多数の雄しべが突き出ています。7〜8月ごろ、赤い集合果が熟します。[1][2][3][4]

ゴヨウイチゴとの違い

 当種は別名をトゲナシゴヨウイチゴといい、ゴヨウイチゴ(Rubus ikenoensis)によく似ていることが想像できます。実際にそっくりなのですが、ゴヨウイチゴには葉柄、花柄から萼、そして茎に棘があり、棘のないヒメゴヨウイチゴとは異なります。また花がまったく異なり、ゴヨウイチゴには花弁がありません。この2つは似ているものの、分子生物学的な系統において、ゴヨウイチゴとヒメゴヨウイチゴは別々の亜属に属すると言ってもいいぐらいに意外と離れているそうです。

 ゴヨウイチゴと同じようにヒメゴヨウイチゴは、地面に接触した地上茎から発根して栄養繁殖をします。ただし異なるのは、1年生の地上茎の一部が枯れて、親株から娘株の分離がその年のうちに成されてしまう点です。親株に残って2年生となった茎から花が咲きます。また、花や種子といった繁殖器官にどの程度のエネルギーを投入しているかを分析したところ、他のキイチゴ類に比べてかなり低い値だったとのこと。このことから、栄養繁殖にかなり依存した生態を持つことがわかります。[3]

参考文献
  1. 茂木透ら(2009)『樹に咲く花―離弁花(1)(第4版)』山と溪谷社
  2. 清水建美(2002)『高山に咲く花』山と溪谷社
  3. 梅沢俊(2009)『北海道の高山植物(新版)』北海道新聞社
  4. 加藤雅啓ら(2011)『日本の固有植物』東海大学出版会
  5. 鈴木和次郎(2021)『キイチゴの世界』日本林業調査会

Gallery

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樹形

岩手県姫神山(June 4, 2022)

海道から本州の中部以北の山地や亜高山帯にある針葉樹林内や林縁の湿った土地に自生している日本固有種です。

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樹形

岩手県姫神山(June 4, 2022)

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岩手県姫神山(June 4, 2022)

葉は五出複葉で小葉は鋸歯があり、葉裏の特に脈上、葉の表や葉柄には軟毛が生えています。

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岩手県姫神山(June 4, 2022)

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葉の裏

岩手県姫神山(June 4, 2022)

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鋸歯

岩手県姫神山(July 23, 2022)

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葉柄

岩手県姫神山(June 4, 2022)

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岩手県姫神山(June 4, 2022)

1つの白い花を5〜7月ごろ上向きに咲かせますが、長さ8mmほどの7枚の花弁は直立して平開しません。

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岩手県姫神山(June 4, 2022)

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岩手県姫神山(June 4, 2022)

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雄しべ

岩手県姫神山(June 4, 2022)

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果実

岩手県姫神山(July 1, 2023)

7〜8月ごろ、赤い集合果が熟します。

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未果実

岩手県姫神山(July 1, 2023)

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果実

岩手県姫神山(July 1, 2023)

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岩手県姫神山(June 4, 2022)

葉柄の基部には緑色の細い托葉があります。

Property
分 類
和名 ヒメゴヨウイチゴ(姫五葉苺)
別名 トゲナシゴヨウイチゴ
学名 Rubus pseudojaponicus
バラ目(Rosales)
バラ科(Rosaceae)
キイチゴ属(Rubus)
分布 日本
国内 北海道、本州
用途
特 徴
針広 広葉樹
常落 落葉樹
樹高 つる性
葉形 5出複葉(不分裂)
葉序 互生
葉縁 鋸歯
雌雄 雌雄同株(両性花)
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