ムクロジ目 chevron_right ムクロジ科 chevron_right トチノキ属 chevron_right トチノキ
トチノキ
Aesculus turbinata

 日本の固有種で北海道から九州までの山地、特に谷や沢の斜面といった適当な湿り気のある土地に生えています。樹高は20〜30mにもなります。枝先から大きさの異なる5〜9枚の葉が出ているように見えますが、これ全体が1枚の葉で、個々の葉は小葉と呼びます。このような葉を「掌(てのひら)」に似ているので「掌状複葉(しょうじょうふくよう)」と呼びます。中央の小葉が最も大きく、大きいもので長さが30cmほどになります。クリスマスツリーのような円錐花序の白い花が5〜6月ごろに咲きます。秋になると大きさが5cmぐらいの実ができます。クリの実、またその配色が栗まんじゅうに似ています。樹皮は黒褐色で凹凸があってざらつき、老木になると剥がれ落ちます。[1][2][3][4]

長寿の木

 1つの花序には両性花と雄花が混在しています。ほとんどの花が雄花であって、両性花の存在率は個体によってばらつきますが数%から十数%程度のようです。ところがこの両性花のうち成熟するものは1割程度しかなく、そのほとんどが未熟果のうちに落下してしまいます。成熟した種子は地面に落下しますが、そのほとんどはネズミ類によって持ち去られます。ネズミは種子をその場で食べるというよりも、落葉のある場所に運搬して浅く埋めるなどして貯蔵します。運良く食べ残された種子が発芽する訳ですが、生き残れる種子はほんの僅かです。当種の寿命は700年と見られているほど寿命が長いので、その期間内に子孫を残すことが可能なのでしょう。[5][6]

「とちもち」

 実は炭水化物が豊富で、苦みを取り除く「あく抜き」をしてもち米と一緒についたものを「とちもち(栃餅)」と呼び、古くから食されてきました。蜜源植物としても有名で、トチノキのハチミツとして販売されているものもあります。材は軟らかくて加工しやすく、ひび割れしにくいので、ボウルやお椀、漆器の木地などに用いられます。一方で乾燥時に狂いが生じやすく耐朽性が低いため、建築材などにはあまり使われません。道路沿いや公園に植えられることも多い木です。[7]

参考文献
  1. 林将之(2004)『葉で見分ける樹木』小学館
  2. 茂木透ら(2009)『樹に咲く花―離弁花(2)(第2版)』山と溪谷社
  3. 上原敬二(1959)『植物大図説』有明書房
  4. 加藤雅啓ら(2011)『日本の固有植物』東海大学出版会
  5. 日本樹木誌編集委員会(2009)『日本樹木誌(1)』日本林業調査会
  6. 渡辺一夫(2009)『イタヤカエデはなぜ自ら幹を枯らすのか』築地書館
  7. 伊東隆夫ら(2011)『日本有用樹木誌』海青社

Gallery

zoom_in

樹形

筑波実験植物園(May 8, 2010)

樹高は20〜30mにもなります。

zoom_in

樹形(開花時)

筑波実験植物園(May 20, 2011)

zoom_in

冬芽

小石川植物園(Mar. 5, 2011)

zoom_in

冬芽

小石川植物園(Mar. 5, 2011)

zoom_in

筑波実験植物園(May 8, 2010)

枝先から大きさの異なる5〜9枚の葉が出ているように見えますが、これ全体が1枚の葉で、個々の葉は小葉と呼びます。

zoom_in

小石川植物園(June 10, 2011)

zoom_in

筑波実験植物園(May 20, 2011)

クリスマスツリーのような円錐花序の白い花が5〜6月ごろに咲きます。

zoom_in

未熟果

丸沼高原(June 25, 2010)

秋になると大きさが5cmぐらいの実ができます。

zoom_in

果実

筑波実験植物園(Sep. 19, 2010)

zoom_in

果実

筑波実験植物園(Sep. 19, 2010)

zoom_in

樹皮

筑波実験植物園(May 8, 2010)

樹皮は黒褐色で凹凸があってざらつき、老木になると剥がれ落ちます。

Property
分 類
和名 トチノキ(栃木)
学名 Aesculus turbinata
ムクロジ目(Sapindales)
ムクロジ科(Sapindaceae)
トチノキ属(Aesculus)
分布 日本
国内 北海道、本州、四国、九州
用途 家具材、器具材、蜜源植物、食用(種子)
特 徴
針広 広葉樹
常落 落葉樹
樹高 高木
葉形 掌状複葉
葉序 対生
葉縁 鋸歯
雌雄 雌雄同株(両性花/雄花)
Search
Family