モチノキ目 chevron_right モチノキ科 chevron_right モチノキ属 chevron_right ツルツゲ
ツルツゲ
Ilex rugosa

 亜高山帯の林内に自生していて、地面をはうように広がり、樹高は20〜50cmになります。互生の葉は長さが2〜5cmの長楕円形または披針形です。表側に網目状のシワが入っているのが特徴で、縁には鈍い鋸歯があります。ちなみに学名の2文字目にある種小名「rugosa」は、ラテン語で「シワがある」という意味です。6〜8月に小さな白い花を咲かせます。当種は雌雄異株ですが、雌花には退化した雄しべ、雄花には退化した雌しべがあります。萼片、花弁、雄しべがいずれも4つあります。9〜11月には直径6mm前後の果実が赤く熟し、登山道ではよく目立ちます。この実は幹についたまま冬を越すこともあります。幹には稜があり、樹皮は緑色または紫褐色です。[1][2][3][4]

標高の高いところに自生

 富山県内でモチノキ科植物の分布を調査した報告があります。富山県に自生しているツルツゲを含むモチノキ科は10種あるとのこと。自生地の平均標高はツルツゲが最も高い1,841m。一方で最も低いのは平均標高55mのモチノキでした。亜高山の針葉樹林帯、落葉広葉樹林の一種である夏緑樹林帯、そして高山帯にツルツゲは自生していて、最も標高が高いところで2,807mの地点だったそうです。モチノキ科の中で標高の高い条件に適応した種であることがわかります。[5]

 ツルツゲには変種や雑種があり、ホソバツルツゲ(Ilex rugosa var. stenophylla)は葉が細く主に中部地方以西に見られます。またヒメモチとの雑種と考えられているのがオオツルツゲ(Ilex x makinoi)です。

参考文献
  1. 茂木透ら(2009)『樹に咲く花―離弁花(2)(第2版)』山と溪谷社
  2. 林将之(2014)『樹木の葉』山と溪谷社
  3. 梅沢俊(2009)『北海道の高山植物(新版)』北海道新聞社
  4. 清水建美(2002)『高山に咲く花』山と溪谷社
  5. 佐藤卓ら(2019)『富山県に自然分布するモチノキ科植物の分布の特徴』「富山市科学博物館研究報告」43、pp.15-21

Gallery

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樹形

大雪山系永山岳(Sep. 13, 2017)

亜高山帯の林内に自生していて、地面をはうように広がり、樹高は20〜50cmになります。

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樹形

南蔵王前山(June 27, 2021)

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樹形

栗駒山(July 30, 2022)

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南蔵王前山(June 27, 2021)

表側に網目状のシワが入っているのが特徴で、縁には鈍い鋸歯があります。

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南蔵王前山(June 27, 2021)

6〜8月に小さな白い花を咲かせます。

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果実

南蔵王杉ヶ峰(Sep. 20, 2021)

9〜11月には直径6mm前後の果実が赤く熟し、登山道ではよく目立ちます。

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未熟果

岩手県三ッ石山(Aug. 7, 2022)

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果実

秋田駒ヶ岳(Sep. 11, 2021)

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樹皮

南蔵王前山(June 27, 2021)

幹には稜があり、樹皮は緑色または紫褐色です。

Property
分 類
和名 ツルツゲ(梅擬)
学名 Ilex rugosa
(Syn. Ilex rugosa var. vegeta)
(Syn. Ilex rugosa var. hondoensis)
(Syn. Ilex rugosa f. vegeta)
モチノキ目(Aquifoliales)
モチノキ科(Aquifoliaceae)
モチノキ属(Ilex)
分布 日本、千島、サハリン
国内 北海道、本州、四国、九州
用途
特 徴
針広 広葉樹
常落 常緑樹
樹高 低木
葉形 単葉(不分裂)
葉序 互生
葉縁 鋸歯
雌雄 雌雄異株(単性花)
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