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オオバヤシャブシ
Alnus sieboldiana

 海岸近くの山地に生えています。日本固有の樹木で国内の分布は福島県南部から和歌山県の太平洋側です。高さは5〜10mほどで、樹皮は灰褐色で枝には円形の皮目が多く見られます。緑化用の樹木として林道沿いなどによく植えられています。葉は長さが6〜12cmの長めの卵形で左右不相称、先端が尖っていて鋭い鋸歯があります。花は3〜4月に葉の展開と共に咲き始めます。雄花と雌花が別々に咲く単性花で、黄色味を帯びた雄花序は長さ4〜5cmの芋虫のような形で垂れ下がり、その枝の先に長さ1〜2cmほどの赤い雌花序が直立しています。10〜11月に長さが2cm程度の楕円形をした堅果が熟します。[1][2][3]

 同属のヤシャブシやヒメヤシャブシに似ていますが、ヤシャブシは葉が少し小さく雄花序が枝先にあって雌花序はその下に1〜2個付きます。ヒメヤシャブシもヤシャブシと同じ様に花序が付きますが雌花序は3〜6個付き、他よりも葉が細くて側脈が多いです。

痩せた土地で生育

 オオバヤシャブシは、植物が利用できる土壌有機物や栄養塩類がほとんどない土地でも生育でき、法面の保護や緑化樹木、肥料木として広く利用されています。これは根に外生菌根菌や根粒菌(窒素固定菌である放線菌のフランキア菌)が共生して、栄養塩類が供給されやすくなるためです。事実、2000年に噴火した三宅島の貧栄養な火山灰が堆積した土地でオオバヤシャブシが生長しているそうです。[4]

花粉症

 一方で、花粉症を引き起こす代表的な樹木でもあります。六甲山系では古くから治山を目的として多量に植栽されており、この麓に在住する方が、オオバヤシャブシの花粉を原因とする花粉症患者として昭和62年に国内で初めて確認されたそうです。当花粉症は果物アレルギーを併発し、リンゴや桃といった特にバラ科の果物を食べると口の中が痒くなったりします。果穂にはタンニンが多く黒色染料に用いられました。その名は大きい葉のヤシャブシという意味ですが、ヤシャブシは、熟した果穂を鬼神である「夜叉(ヤシャ)」に見立て、タンニンを利用する「五倍子(フシ)」の代用品だったことから名付けられたと言われています。

参考文献
  1. 林将之(2004)『葉で見わける樹木』小学館
  2. 茂木透ら(2006)『樹に咲く花―離弁花(1)(第4版)』山と溪谷社
  3. 上原敬二(1959)『植物大図説』有明書房
  4. 戸田浩人ら(2008)『三宅島2000年噴火後の森林土壌の理化学性と植生回復』「日本緑化工学会誌」 34(1)、pp.21-26

Gallery

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樹形

筑波実験植物園(Apr. 3, 2011)

日本固有の樹木で国内の分布は福島県南部から和歌山県の太平洋側です。

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冬芽

小石川植物園(Jan. 7, 2012)

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雌花序と雄花序

小石川植物園(Mar. 27, 2011)

花は3〜4月に葉の展開と共に咲き始めます。

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雌花序

小石川植物園(Mar. 27, 2011)

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雄花序

小石川植物園(Mar. 27, 2011)

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果実

小石川植物園(June 26, 2011)

10〜11月に長さが2cm程度の楕円形をした堅果が熟します。

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果穂

小石川植物園(Jan. 7, 2012)

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筑波実験植物園(Apr. 29, 2011)

葉は長さが6〜12cmの長めの卵形で左右不相称、先端が尖っていて鋭い鋸歯があります。

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皮目

小石川植物園(June 26, 2011)

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樹皮

筑波実験植物園(Apr. 3, 2011)

樹皮は灰褐色で枝には円形の皮目が多く見られます。

Property
分 類
和名 オオバヤシャブシ(大葉夜叉五倍子)
学名 Alnus sieboldiana
ブナ目(Fagales)
カバノキ科(Betulaceae)
ハンノキ属(Alnus)
分布 日本
国内 本州、伊豆諸島
用途 染料
特 徴
針広 広葉樹
常落 落葉樹
樹高 小高木
葉形 単葉(不分裂)
葉序 互生
葉縁 鋸歯
雌雄 雌雄同株(単性花)
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