北海道、本州、四国にある多雪地の丘陵や山地に自生しています。
ヒメヤシャブシ
Alnus pendula
北海道、本州、四国にある多雪地の丘陵や山地に自生しています。大きいもので樹高は7mほど。株立ちしたり分枝しやすいため、主幹が明瞭でない場合も多いです。樹皮は黒褐色で滑らかで皮目が目立ちます。葉身が5〜12cmで狭卵形の葉には、表側が凹んだ側脈が20本以上あります。これは同属で見た目がよく似たヤシャブシやオオバヤシャブシに比較して多い数です。3〜5月には葉が展開するのと同時に花を咲かせます。枝の先端に1〜3本の雄花序が垂れ下がり、その手前から3〜6本ほどまとまって雌花序が出てきます。同属のオオバヤシャブシは雌花序が先端側でこれと逆です。10〜11月に果実は熟すのですが、楕円形の果穂は垂れ下がり、この中に狭い翼のある多数の堅果を含んでいて、風に乗って散布されます。ヤシャブシは1〜2個、オオバヤシャブシは1個の果穂が垂れ下がらずに斜上または直立する点がヒメヤシャブシと異なります。果穂にはタンニンが多く含まれ、草木染めの黒染料に用いられています。[1][2]
緑化に利用
外生菌根菌や根粒菌(窒素固定菌である放線菌のフランキア菌)が根に共生することで、ヒメヤシャブシには栄養塩類が供給されます。この特徴を利用して貧栄養の土地でも真っ先に成長することができます。崩壊地や荒地でよく見かけるのはそのためです。この性質を利用して法面の緑化用途に広く使われていて、元々の自生地でない地域にも当種を確認することができます。ただこれにも問題があるようです。富山県内の各地に自生している当種の葉緑体DNAにおけるハプロタイプ(片親から受け継いだ遺伝子の並び)について調査した結果、北アルプス北端の稜線や黒部川を境として東西で2つのハプロタイプに分かれていたそうです。標高が2000mほどある駒ヶ岳などに阻まれて、遺伝的に分化していたと考えられます。遺伝的多様性を保持するためにも地域性を配慮した緑化が求めれそうです。[3]
Gallery
枝の先端に1〜3本の雄花序が垂れ下がり、その手前から3〜6本ほどまとまった雌花序が出てきます。
楕円形の果穂は垂れ下がり、この中に狭い翼のある多数の堅果を含んでいて、風に乗って散布されます。
狭卵形で葉身が5〜12cmの葉には、表側が凹んだ側脈が20以上あります。
樹皮は黒褐色で滑らかで皮目が目立ちます。
Property
| 分 類 | |
|---|---|
| 和名 | ヒメヤシャブシ(姫夜叉五倍子) |
| 別名 | ハゲシバリ |
| 学名 | Alnus pendula (Syn. Duschekia pendula) (Syn. Alnus multinervis) (Syn. Alnaster pendulus) |
| 目 | ブナ目(Fagales) |
| 科 | カバノキ科(Betulaceae) |
| 属 | ハンノキ属(Alnus) |
| 分布 | 日本 |
| 国内 | 北海道、本州、四国 |
| 用途 | 染料 |
| 特 徴 | |
|---|---|
| 針広 | 広葉樹 |
| 常落 | 落葉樹 |
| 樹高 | 小高木 |
| 葉形 | 単葉(不分裂) |
| 葉序 | 互生 |
| 葉縁 | 鋸歯 |
| 雌雄 | 雌雄同株(単性花) |