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クリ
Castanea crenata

 北海道から九州の山や雑木林に生えています。大きいものは高さ20m、太さ60cmに達します。葉は長さが7〜14cmの長い楕円形で鋭い鋸歯があります。6~7月の梅雨の時期に長さ10~15cmのススキの「ほ(穂)」に似た花が咲きます。花は、独特の生臭い甘いにおいを出します。秋には約1cmの刺が密生するいがの中に3個の堅果が熟します。[1][2][3]

 鋭い鋸歯のある葉は同科コナラ属のクヌギやアベマキの葉によく似ています。ただし、クヌギやアベマキと違って本種の鋸歯には葉緑素があるため葉身と同じ緑色をしています。樹皮は灰黒色で縦に深く裂けます。

腐りにくい材質

 クリの材は堅く腐りにくいので、屋外で雨風にさらされる鉄道の線路の下に並べる枕木に使われていました(今はコンクリートで作られた枕木が多いです)。また、台所やお風呂場といった水周りの材としても使われます。縄文遺跡の調査によって、当時の建築物には柱にクリが用いられていたことが判っています。[4]

 クリは環境への適応力に強い樹種で、日光が少ないと育ちにくい陽樹です。樹皮が厚いため山火事があっても生き延びやすく、また幹が焼けても根から萌芽枝を出すなど萌芽力も旺盛です。本種の名は、色が黒いことから、また尖った角の意味から、そらには朝鮮語のkulから来ているとも言われています。秋にできるクリの実は食用になるため、日本では古くから栽培されていました。ちなみに、スーパーなどで売っているクリの実は、実の大きい栽培用の品種です。[5][6][7]

クリタマバチ

 クリの害虫といえば、一時期栽培種や野生種のクリを戦後に次々と枯らしていったクリタマバチが良く知られています。体長約2mmのクリタマバチはクリの芽の中に4〜5個づつ産み付けます。孵化した幼虫は芽の中にある幼葉の組織内に食入して、虫房を形成します。クリはその部分で異常をきたして虫えい(虫こぶ)を作りますが、幼虫の成長と共に虫えいも肥大化していきます。虫えいができると葉が開けず、また虫えいのために養分が使われてしまい、弱ったクリが枯れていくのです。[8]

参考文献
  1. 林将之(2004)『葉で見分ける樹木』小学館
  2. 茂木透ら(2006)『樹に咲く花―離弁花(1)(第4版)』山と溪谷社
  3. 上原敬二(1959)『植物大図説』有明書房
  4. 伊東隆夫ら(2011)『日本有用樹木誌』海青社
  5. 渡辺一夫(2010)『アセビは羊を中毒死させる』築地書館
  6. 日本樹木誌編集委員会(2009)『日本樹木誌(1)』日本林業調査会
  7. 深津正(1993)『木の名の由来』東京書籍
  8. 湯川淳一ら(1996)『日本原色虫えい図鑑』全国農村教育協会

Gallery

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樹形

筑波実験植物園(May 8, 2010)

大きいものは高さ20m、太さ60cmに達します。

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樹形

筑波実験植物園(Sep. 23, 2011)

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未熟果

筑波実験植物園(Sep. 19, 2010)

秋には約1cmの刺が密生するいがの中に3個の堅果が熟します。

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果実

筑波実験植物園(Sep. 23, 2011)

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若葉

日光植物園(May 15, 2010)

本種の鋸歯には葉緑素があるため葉身と同じ緑色をしています。

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筑波実験植物園(Sep. 19, 2010)

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鋸歯

小石川植物園(June 26, 2011)

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樹皮

日光植物園(May 15, 2011)

樹皮は灰黒色で縦に深く裂けます。

Property
分 類
和名 クリ(栗)
別名 シバグリ
学名 Castanea crenata
ブナ目(Fagales)
ブナ科(Fagaceae)
クリ属(Castanea)
分布 日本、朝鮮半島
国内 北海道、本州、四国、九州
用途 建材、食用(種子)
特 徴
針広 広葉樹
常落 落葉樹
樹高 高木
葉形 単葉(不分裂)
葉序 互生
葉縁 鋸歯
雌雄 雌雄同株(単性花)
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