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イヌブナ
Fagus japonica

 日本固有種で、本州では東北地方南部から南の太平洋側(近畿地方以西には日本海側にも分布)、四国、九州、特に内陸側に生えています。樹高は25mに達するものもあります。4〜5月ごろ、葉の展開と同時にモップのような垂れ下がった雄花と、枝先に1本だけ伸びた雌花を咲かせます。秋にクリが薄くなったような実ができます。[1][2][3][4]

 葉は長さが5〜10cmで波が立っているように凹凸があります。ブナの葉と良く似ていますが、葉の厚みがなく、また側脈がブナは7〜11対なのに対して10〜14対です。ブナと違うのは樹皮で、ブナの樹皮が白っぽいのに対して本種は暗灰褐色と黒っぽく、クロブナとも呼ばれる由縁です。またイボ状の皮目も目立ちます。

萌芽による無性生殖

 本種はブナと違って幹の根元から萌芽枝を出します。そのため株立ち状の個体がよく見られます。稚樹の耐陰性は弱く、林冠ギャップが無いとなかなか実生で大きくなることができません。そのため主幹が倒れても無性生殖による萌芽で生き延びて、子孫を残す機会を得続けるわけです。そのためか萌芽力の強い樹種が生き残りやすい小規模の土砂崩れが度々起きやすいような斜面で優勢を保っているようです。特に林冠木が数本倒れるなどによって形成された小規模な林冠ギャップでは、ギャップ周辺のイヌブナの萌芽幹が林冠を閉鎖していくようです。本種は種子の豊凶を繰り返す樹種です。豊作年は4〜5年ごとに出現するという調査報告もあります。また適切であれば千年以上生き続けられるとも見られています。[5][6][7]

参考文献
  1. 林将之(2004)『葉で見分ける樹木』小学館
  2. 茂木透ら(2006)『樹に咲く花―離弁花(1)(第4版)』山と溪谷社
  3. 上原敬二(1959)『植物大図説』有明書房
  4. 加藤雅啓ら(2011)『日本の固有植物』東海大学出版会
  5. 渡辺一夫(2009)『イタヤカエデはなぜ自ら幹を枯らすのか』築地書館
  6. 菊地陽太ら(2009)『秩父山地における林冠の撹乱規模の異なるイヌブナ天然林の20年間の再生過程』「森林立地」51(1), pp.39-48
  7. 日本樹木誌編集委員会(2009)『日本樹木誌(1)』日本林業調査会

Gallery

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樹形

筑波実験植物園(May 8, 2010)

日本固有種で、本州では東北地方南部から南の太平洋側、四国、九州、特に内陸側に生えています。

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冬芽

多摩森林科学園(Mar. 19, 2011)

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筑波実験植物園(Apr. 3, 2011)

4〜5月ごろ、葉の展開と同時にモップのような垂れ下がった雄花と、枝先に1本だけ伸びた雌花を咲かせます。

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筑波実験植物園(Apr. 3, 2011)

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筑波実験植物園(May 8, 2010)

葉は長さが5〜10cmで波が立っているように凹凸があります。

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黄葉

日光植物園(Nov. 12, 2011)

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樹皮

多摩森林科学園(Apr. 29, 2010)

ブナの樹皮が白っぽいのに対して本種は暗灰褐色と黒っぽく、クロブナとも呼ばれる由縁です。

Property
分 類
和名 イヌブナ(犬橅)
別名 クロブナ(黒橅)
学名 Fagus japonica
ブナ目(Fagales)
ブナ科(Fagaceae)
ブナ属(Fagus)
分布 日本
国内 本州、四国、九州
用途 建築材、器具材
特 徴
針広 広葉樹
常落 落葉樹
樹高 高木
葉形 単葉(不分裂)
葉序 互生
葉縁 鋸歯
雌雄 雌雄同株(単性花)
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