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ウツギ
Deutzia crenata

 北海道南部から九州まで、日当りの良い山野によく生えています。株立ちして高さは1〜3mほどになります。葉は長さ4〜9cmの楕円形で先端が長く尖ります、ほぼ全体的に細かい鋸歯があります。樹皮は灰褐色で、縦に裂けてはがれます。5~7月に約1cmの花弁5枚からなる白色の花が多数咲きます。[1][2]

万葉集

 最近では少なくなりましたが、刈り込みに強くさほど大きくならないことから同種を生け垣にしたり畑地の境界用に植えられました。万葉集に本種の生け垣を詠った和歌もあるほど、かなり昔から行われていたようです。例えば、ウグイスは生け垣のウノハナに通っているのに、愛しい人はどうしたのだろうかと詠んだ「鴬の通ふ垣根の卯の花の憂きことあれや君が来まさぬ」があります。ただし、当時の生け垣は現代のようにきれいに刈り込んだものでなく、自然の樹形に近いものだったようです。材は、白くて清潔感があるので楊枝、また堅くて折れにくいので木釘の用材として使われてきました。現代でも和家具の木釘として本種が使われているそうです。[3][4][5][6][7]

空木

 枝は中空で、これがウツギ(空木)の名の由来と言われています。旧暦の4月(卯月)に花が咲くことからもウツギ、また別名のウノハナと呼ばれたと言われています(ウツギ/ウノハナが咲くので卯月になったという逆説もあります)。学校でよく習う「夏は来ぬ」(佐佐木信綱作詞、小山作之助作曲)の歌詞に出てくる「卯の花」はこのウツギのことです。体長1cm程度のウツギノヒメハナバチという、ほぼウツギの花粉や蜜だけを集める土中に巣を作る花蜂がいます。[8]

参考文献
  1. 林将之(2004)『葉で見わける樹木』小学館
  2. 茂木透ら(2009)『樹に咲く花―離弁花(2)(第2版)』山と溪谷社
  3. 諸戸北郎(1903)『大日本有用樹木効用編』嵩山房
  4. 宮内泰之(2010)『恵泉 樹の文化史(6) ウツギ』「恵泉女学園大学園芸文化研究所報告:園芸文化」7、pp.56-61
  5. 飛田範夫(1999)『日本の生垣の歴史的変遷について』「ランドスケープ研究:日本造園学会誌」62(5)、pp.413-416
  6. 農商務省山林局(1912)『木材ノ工藝的利用』大日本山林會
  7. 伊東隆夫ら(2011)『日本有用樹木誌』海青社
  8. 前田泰生(2000)『但馬・楽音寺のウツギヒメハナバチ』海游舎

Gallery

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樹形

筑波実験植物園(Sep. 23, 2011)

北海道南部から九州まで、日当りの良い山野によく生えています。

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小石川植物園(May 4, 2011)

ほぼ全体的に細かい鋸歯があります。

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小石川植物園(June 10, 2011)

5~7月に約1cmの花弁5枚からなる白色の花が多数咲きます。

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果実

筑波実験植物園(Sep. 23, 2011)

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樹皮

小石川植物園(May 4, 2011)

樹皮は灰褐色で、縦に裂けてはがれます。

Property
分 類
和名 ウツギ(空木)
学名 Deutzia crenata
ミズキ目(Cornales)
アジサイ科(Hydrangeaceae)
ウツギ属(Deutzia)
分布 日本、中国
国内 北海道、本州、四国、九州
用途 木釘、楊枝用材
特 徴
針広 広葉樹
常落 落葉樹
樹高 低木
葉形 単葉(不分裂)
葉序 対生
葉縁 鋸歯
雌雄 雌雄同株(両性花)
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