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サワグルミ
Pterocarya rhoifolia

 北海道南部から九州まで、渓谷などの河原に多く生え、場所によっては純林を形成しています。樹高は10〜20m、大きいものは30mにもなります。比較的細い幹がすっと真っ直ぐに背を伸ばした特徴的な樹木です。葉は5〜10対の奇数羽状複葉です。小葉は5〜12cmほどになりますが、その小葉の基部は左右不相称です。春になると周囲にある他の落葉樹よりもいち早く葉を出します。

 新枝の先から雌花序と雄花序が垂れ下がり、4〜6月に花を咲かせます。細長い果穂に連なってくっついた20〜60個の左右に翼がある堅果が7〜8月に熟します。[1][2][3]

河畔林の代表種

 渓畔林の代表種です。特に東北地方や日本海側といった積雪地帯ではトチノキ、カツラと共に渓畔林を構成しています。本種は先駆種です。土砂崩れや洪水といった撹乱でギャップが形成されると一斉に実生が生長し、撹乱の規模が大きいと樹高が揃った純林を形成することがあります。

 寿命は100〜150年ほどで、この間隔で大規模な撹乱が発生する土地では本種の優先した森林が維持されることになります。耐陰性もある程度備えていますが競合種に比べれば弱いため、日光が得られるギャップの形成だけでなく、地表撹乱による裸地の形成もサワグルミの生長には必要なようです。翼を持つ種子は風によって散布されますが、実際は洪水などを利用した水散布によっても広範囲に広がります。[4][5][6][7]

 樹皮は暗灰色で縦に裂けて剥がれますが丈夫で、マタギが狩猟時に寝泊まりに使うマタギ小屋の屋根材として使われてきました。その骨組みもサワグルミの材を使っていたようです。別名であるカワグルミはその生息場所、フジグルミは穂状の花や堅果から名付けられたようです。

参考文献
  1. 林将之(2004)『葉で見分ける樹木』小学館
  2. 茂木透ら(2006)『樹に咲く花―離弁花(1)(第4版)』山と溪谷社
  3. 上原敬二(1959)『植物大図説』有明書房
  4. 日本樹木誌編集委員会(2009)『日本樹木誌(1)』日本林業調査会
  5. 渡辺一夫(2009)『イタヤカエデはなぜ自ら幹を枯らすのか』築地書館
  6. 崎尾均ら編(2002)『水辺林の生態学』東京大学出版会
  7. 五十嵐知宏ら(2008)『水散布によるサワグルミ種子の移動パターンと漂着場所特性 』「複合生態フィールド教育研究センター報告」24、pp.1-6

Gallery

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樹形

日光植物園(Oct. 31, 2010)

樹高は10〜20m、大きいものは30mにもなります。比較的細い幹がすっと真っ直ぐに背を伸ばした特徴的な樹木です。

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筑波実験教育園(May 20, 2011)

葉は5〜10対の奇数羽状複葉です。小葉は5〜12cmほどになりますが、その小葉の基部は左右不相称です。春になると周囲にある他の落葉樹よりもいち早く葉を出します。

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冬芽

筑波実験教育園(Apr. 3, 2011)

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若葉

日光植物園(Apr. 30, 2011)

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果実

筑波実験教育園(Sep. 19, 2010)

細長い果穂に連なってくっついた20〜60個の左右に翼がある堅果が7〜8月に熟します。

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未熟果

筑波実験教育園(May 20, 2011)

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樹皮

多摩森林科学園(Apr. 29, 2010)

樹皮は暗灰色で縦に裂けて剥がれますが丈夫で、マタギが狩猟時に寝泊まりに使うマタギ小屋の屋根材として使われてきました。

Property
分 類
和名 サワグルミ(沢胡桃)
別名 カワグルミ、フジグルミ
学名 Pterocarya rhoifolia
ブナ目(Fagales)
クルミ科(Juglandaceae)
サワグルミ属(Pterocarya)
分布 日本、中国
国内 北海道、本州、四国、九州
用途 下駄・桶、マッチ軸木
特 徴
針広 広葉樹
常落 落葉樹
樹高 高木
葉形 羽状複葉(奇数)
葉序 互生
葉縁 鋸歯
雌雄 雌雄同株(単性花)
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