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ノグルミ
Platycarya strobilacea

 本州では東海地方より西側に分布しています。ノグルミは陽樹であり、斜面の崩壊地といった日当りが良く、肥沃な土地に生えます。高さは5〜10mほどになりますが、中には30m近くになるものもあるようです。樹皮は褐色で縦に長く裂け、深くはありませんが凸凹が目立ちます。小葉は長さが5〜10cmで、5〜7対付き、羽状複葉全体の長さは30cmになります。小葉は細長い楕円形で先端が尖り左右不相称です。花は単性花で雄花序と雌花序が集まっており、6月に黄色から黄緑色の花が咲きます。1つの雌花序の周りに複数の雄花序がいずれも直立します。株によって、雌花→雄花の順に咲くもの、雄花(第1)→雌花→雄花(第2:雌花序の上に付いた雄花序の雄花)の順に咲くものがあるようです。長さ2〜3cmの褐色の果穂はまるで小振りの松ぼっくりです。10月ごろに熟す堅果は長さ5mmほどの角のない扁平な翼を持つ三角形で、果穂の苞の間から1個づつ落ちていきます。果穂自体は堅果が落ちた後も残り、中には翌年の果実が熟す秋になっても残るものがあるようです。[1][2]

水生生物への毒性

 過去、この枝葉を砕いて川に流し、浮いてくる魚を獲っていました。これは、特に水棲生物に強い毒性を示すナフトキノン類などが葉に含まれているためです。ノグルミは「化香樹」や「放香樹」とも呼ばれ、材を焼くと香木の沈香に似た香りがしたため沈香の代用として使われた他、蚊遣りに使われていました。これは香料として利用されるバニリンセスキテルペン類などによるもののようです。材は黄白色から黄褐色で軽く割れにくいため下駄やマッチの軸、また薪炭材に用いられていました。[3][4][5][6]

1,4-ナフトキノン(C1062

バニリン(C883

2,4-cyclo-7(11)-eudesmen-8-one(C1522O)

参考文献
  1. 茂木透ら(2006)『樹に咲く花―離弁花(1)(第4版)』山と溪谷社
  2. 上原敬二(1959)『植物大図説』有明書房
  3. 近藤昭ら(1977)『ノグルミの葉に含まれる生物活性物質(その1)』「香川大学農学部学術報告」29(1)、pp.197-202
  4. 前田一(2011)『長崎県の森林資源における機能性物質の探索』長崎大学、博士後期課程
  5. 諸戸北郎(1903)『大日本有用樹木効用編』嵩山房
  6. 農商務省山林局(1912)『木材ノ工藝的利用』大日本山林會

Gallery

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樹形

小石川植物園(May 4, 2011)

ノグルミは陽樹であり、斜面の崩壊地といった日当りが良く、肥沃な土地に生えます。

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小石川植物園(May 4, 2011)

小葉は細長い楕円形で先端が尖り左右不相称です。

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花序

小石川植物園(June 10, 2011)

花は単性花で雄花序と雌花序が集まっており、6月に黄色から黄緑色の花が咲きます。

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果穂

小石川植物園(Jan. 7, 2012)

長さ2〜3cmの褐色の果穂はまるで小振りの松ぼっくりです。

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果穂

小石川植物園(Feb. 20, 2011)

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樹皮

小石川植物園(Feb. 20, 2011)

樹皮は褐色で縦に長く裂け、深くはありませんが凸凹が目立ちます。

Property
分 類
和名 ノグルミ(野胡桃)
別名 ノブノキ
学名 Platycarya strobilacea
ブナ目(Fagales)
クルミ科(Juglandaceae)
ノグルミ属(Platycarya)
分布 日本、朝鮮半島、中国、台湾
国内 本州、四国、九州
用途 器具材
特 徴
針広 広葉樹
常落 落葉樹
樹高 高木
葉形 羽状複葉(奇数)
葉序 互生
葉縁 鋸歯
雌雄 雌雄同株(単性花)
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