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イブキジャコウソウ
Thymus quinquecostatus var. ibukiensis

 山地や高山帯の岩場などに自生し、よく分枝して地面をはって横に広がります。木質化した枝は灰褐色で、若い枝は紫褐色です。十字対生する狭卵形の葉は葉身が5〜10mmあって全縁です。葉柄などに白く長い毛が生えています。立ち上がった枝の先端に紅紫色の小さな花を6〜8月にたくさん咲かせます。花は、上唇と下唇に大きく裂かれた唇形花冠と呼ばれる合弁花です。上唇は直立して2つに浅く裂き、下唇は平開して3つに大きく裂かれています。9月ごろに果実が熟し、小さな種子がこぼれ落ちます。[1][2]

日本のタイム

 本種の名は、石灰岩層の山である伊吹山に多く自生している麝香(じゃこう)の香りがする草という意味。英語名は「japanese thyme」で、つまり日本産のタイムです。タイムといえば、肉や魚の臭み消しや香り付けに用いられる代表的なハーブです。イブキジャコウソウの葉を触ると芳香がします。例えが悪いかもしれませんが、清涼な鉛筆の匂いという感じです。百里もの先から香ってくる「百里香」という別名が付けられたのも理解できます。主成分は清涼感のある香りがするチモールで、その他に同じく清涼感のカルバクロール、柑橘系のパラシメン、フローラル感のあるリナロールなどが含まれています。ただし、産地によって細かい成分があったり無かったりするなど、違いが出てくるそうです。石灰岩(伊吹山など)、かんらん岩(アポイ岳など)、蛇紋岩(早池峰山など)といったCaやMgが多く含まれる、多くの植物にとって生育しにくい土壌でも自生しているのが特徴です。[3]

チモール(C1014O)

カルバクロール(C1014O)

パラシメン(C1014

リナロール(C1018O)

参考文献
  1. 清水建美(2002)『高山に咲く花』山と溪谷社
  2. 梅沢俊(2009)『北海道の高山植物(新版)』北海道新聞社
  3. 亀岡弘ら(1973)『イブキジャコウソウの精油成分』「日本化学会誌(化学と工業化学)」1973(4), pp.775-778

Gallery

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樹形

宮城県不忘山(Aug. 12, 2022)

山地や高山帯の岩場などに自生し、よく分枝して地面をはって横に広がります。

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樹形

宮城県不忘山(Aug. 12, 2022)

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樹形

早池峰山(Aug. 6, 2022)

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アポイ岳(Aug. 19, 2018)

十字対生する狭卵形の葉は葉身が5〜10mmあって全縁です。

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宮城県不忘山(Aug. 12, 2022)

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葉の裏と油点

宮城県不忘山(Aug. 12, 2022)

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早池峰山(Aug. 6, 2022)

花は、上唇と下唇に大きく裂かれた唇形花冠と呼ばれる合弁花です。

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アポイ岳(Aug. 19, 2018)

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果実

宮城県不忘山(Sep. 10, 2023)

9月ごろに果実が熟し、小さな種子がこぼれ落ちます。

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未果実

アポイ岳(Aug. 19, 2018)

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樹皮

アポイ岳(Aug. 19, 2018)

木質化した枝は灰褐色で、若い枝は紫褐色です。

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アポイ岳(Aug. 19, 2018)

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宮城県不忘山(Aug. 12, 2022)

Property
分 類
和名 イブキジャコウソウ(伊吹麝香草)
別名 ヒャクリコウ(百里香)、イワジャコウソウ(岩麝香草)
学名 Thymus quinquecostatus var. ibukiensis
(Syn. Thymus quinquecostatus)
(Syn. Thymus serpyllum subsp. quinquecostatus)
(Syn. Thymus quinquecostatus var. japonicus)
(Syn. Thymus serpyllum var. ibukiensis)
(Syn. Thymus japonicus)
シソ目(Lamiales)
シソ科(Lamiaceae)
イブキジャコウソウ属(Thymus)
分布 日本、東アジア
国内 北海道、本州、九州
用途
特 徴
針広 広葉樹
常落 常緑樹
樹高 小低木
葉形 単葉(不分裂)
葉序 対生
葉縁 全縁
雌雄 雌雄同株(両性花)
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