キントラノオ目 chevron_right ヤナギ科 chevron_right ヤナギ属 chevron_right エゾヤナギ
エゾヤナギ
Salix rorida

 北海道と本州の上高地の河畔に自生しています。樹高は15m以上にもなる高木で、樹皮は灰褐色で生長すると縦に裂け目が入ります。葉身が5〜12cmの葉は長楕円形で先が尖り、細かい鋸歯があります。葉の裏は粉白色を帯びます。また葉柄の元には大型で目立つ丸い托葉が付きますが、冬になって枯れた状態でも残ることがあります。枝の2年枝は白蠟質を被って白くなります。ケショウヤナギも枝は白くなりますが、托葉が無いことなどから判別は容易です。開葉する前の4〜5月、立ち上がった花序に花を咲かせます。5〜6月には果実が裂開し、綿毛の付いた種子を風に乗せて散布します。[1][2][3]

他種に先駆けて

 北海道でのエゾヤナギは、源流に近い谷地よりも下流側にある扇状地帯に分布しています。より樹高の高いシロヤナギや低木のネコヤナギと河畔林を形成する傾向があるようです。この3種はいずれも礫質の土壌で生育していて、他のヤナギ属と住み分けています。ヤナギ類の種子の発芽能力は短期間で失われてしまいますが、中でもエゾヤナギの種子は20日ほどでその発芽力を失います。一方で湿った土があれば散布後すぐにも発芽することが可能であり、ヤナギ類は河川による撹乱に順応した種であることが伺えます。エゾヤナギの開花や種子散布は他のヤナギ類に比べて早く、他種に先駆けていち早く発芽することができます。また主根の生長が著しく地下深くまで根を張りますが、当種が礫質の土地で優位に生長できる理由の1つでもあります。エゾヤナギは気候変動による寒冷化に伴って南下し、温暖化によって北上するのを繰り返してきた種であると考えられます。長野県の上高地に隔離分布しているのはその名残です。[4]

参考文献
  1. 茂木透ら(2006)『樹に咲く花―離弁花(1)(第4版)』山と溪谷社
  2. 吉山寛ら(2019)『ヤナギ ハンドブック』文一総合出版
  3. 斎藤新一郎(2001)『ヤナギ類 その見分け方と使い方』北海道治山協会
  4. 崎尾均ら編(2002)『水辺林の生態学』東京大学出版会

Gallery

zoom_in

樹形

愛別町石狩川沿い(May 19, 2020)

北海道と本州の上高地の河畔に自生しています。

zoom_in

樹形

軽井沢植物園(Aug. 11, 2011)

zoom_in

開花期の樹形

愛別町石狩川沿い(Apr. 13, 2020)

zoom_in

雄花

愛別町石狩川沿い(Apr. 13, 2020)

開葉する前の4〜5月、立ち上がった花序に花を咲かせます。

zoom_in

雄花

愛別町石狩川沿い(Apr. 13, 2020)

zoom_in

果実

愛別町石狩川沿い(May 19, 2020)

5〜6月には果実が裂開し、綿毛の付いた種子を風に乗せて散布します。

zoom_in

愛別町石狩川沿い(June 20, 2020)

葉身が5〜12cmの葉は長楕円形で先が尖り、細かい鋸歯があります。

zoom_in

葉の裏

葉の裏は粉白色を帯びます。

zoom_in

樹皮

愛別町石狩川沿い(June 1, 2019)

樹皮は灰褐色で生長すると縦に裂け目が入ります。

zoom_in

白い2年枝

緑色が本年枝、白い2年枝、茶色い3年枝

Property
分 類
和名 エゾヤナギ(蝦夷柳)
学名 Salix rorida
(Syn. Salix lackschewitziana var. roridiformis)
(Syn. Salix lackschewitziana)
キントラノオ目(Malpighiales)
ヤナギ科(Salicaceae)
ヤナギ属(Salix)
分布 日本、サハリン、朝鮮半島、ウスリー川・アムール川流域
国内 北海道、本州
用途
特 徴
針広 広葉樹
常落 落葉樹
樹高 高木
葉形 単葉(不分裂)
葉序 互生
葉縁 鋸歯
雌雄 雌雄異株(単性花)
Search
Family