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サルトリイバラ
Smilax china

 日本国内に広く自生している、茎の下部のみが木質化するつる性の半低木です。陽のよく入る林内や林縁、また野原などでよく見ることができます。枝についた先の曲がった鉤状の棘と、葉柄から出てくる2本の巻きひげで他の草木に絡まりながら茎を伸ばし、高いものだと樹高は2〜3mになります。猿でも引っかかるような棘と絡みからその名がついたと言われています。側枝が出るごとに右へ左へと順番に茎が曲がるのが特徴的で、葉も実も落ちた冬でも見分けることが容易です。葉は長さが3〜12cmの円形または楕円形で、葉の先端へと伸びる3〜5本の葉脈が目立つのが特徴的です。4〜5月に淡黄緑色の花を咲かせます。雄花には雄しべが6本あり、雌花には雌しべが1本ありますが、雌しべの花柱は3つに割けています。10〜11月になると球形の果実が朱紅色に色づきます。エングラー体系ではユリ科に含められていましたが、クロンキスト体系やAPG体系ではユリ科から独立しました。[1][2]

餅の葉

 柏餅というとブナ科のカシワの葉で包んだ餅ですが、西日本ではサルトリイバラの葉で包んだ餅「いばら餅」が節句の時期に食されています。岐阜県と滋賀県の境にある伊吹山地がその境界腺のようです。西日本に少ないカシワの代用としてサルトリイバラが使われた、逆に元々がサルトリイバラだったのだが東日本では多く採れなかったのでカシワが用いられたとも言われています。面白いことにサルトリイバラをカシワと呼ぶ地域もあり、またそれで包んだ餅をかしわもちと呼ぶ地域もあることです。炊事や食事に用いられた各種植物のことを総称して「かしわ」と呼んでいた名残りとも考えられています。若葉は山菜として、熟した果実は生食や果実酒にするなど利用されてきたようです。たとえば静岡県での方言は38以上あったそうで、地域に根ざした身近な植物だったことが理解できます。ルリタテハというと瑠璃色をしたきれいな蝶ですが、当種を食草としています。サルトリイバラの近縁種として中国に自生しているケナシサルトリイバラ(Smilax glabra)があります。葉が長楕円形で茎に棘がなく、熟した果実は黒紫色と大きく違います。この塊茎をサンキライと呼び、梅毒や皮膚炎などの生薬として用いられています。[3][4][5]

参考文献
  1. 茂木透ら(2008)『樹に咲く花―合弁花・単子葉・裸子植物(第3版)』山と溪谷社
  2. 林将之(2014)『樹木の葉』山と溪谷社
  3. 服部保ら(2007)『かしわもちとちまきを包む植物に関する植生学的研究』「人と自然」17, pp.1-11
  4. 野口英昭(1995)『静岡県樹木名方言』朝日新聞社
  5. 森上信夫(2007)『昆虫の食草・食樹ハンドブック』文一総合出版

Gallery

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樹形

宮城県深山(Apr. 18, 2021)

日本国内に広く自生している、茎の下部のみが木質化するつる性の半低木です。

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樹形

宮城県青麻山(May 5, 2021)

中央にある低木の右隣

葉の先端へと伸びる3〜5本の葉脈が目立つのが特徴的です。

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雌花

秋保大滝植物園(Apr. 30, 2022)

雌花には雌しべが1本ありますが、雌しべの花柱は3つに割けています。

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雄花

宮城県青麻山(May 5, 2021)

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果実

宮城県戸神山(Nov. 12, 2022)

10〜11月になると球形の果実が朱紅色に色づきます。

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未熟果

秋保大滝植物園(July 9, 2022)

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果実

宮城県戸神山(Nov. 12, 2022)

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樹皮と棘

秋保大滝植物園(Nov. 6, 2021)

先の曲がった鉤状の棘が茎にあります

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冬芽

宮城県五社山(Jan. 14, 2023)

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頂芽と巻きひげ

秋保大滝植物園(July 9, 2022)

Property
分 類
和名 サルトリイバラ(猿捕茨)
別名 ガンタチイバラ、カカラ
学名 Smilax china
(Syn. Smilax china f. gigantifolia)
(Syn. Smilax china var. taiheiensis)
ユリ目(Liliales)
サルトリイバラ科(Smilacaceae)
サルトリイバラ属(Smilax)
分布 日本、朝鮮半島、中国
国内 北海道、本州、四国、九州、沖縄
用途 食用(若葉、果実)
特 徴
針広 広葉樹
常落 落葉樹
樹高 つる性半低木
葉形 単葉(不分裂)
葉序 互生
葉縁 全縁
雌雄 雌雄異株(両性花)
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