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ハリギリ
Kalopanax septemlobus

 北海道から沖縄にかけて、冷温帯だけでなく暖温帯まで広く分布していて、山地から低地の雑木林まで特に肥沃な土地に生えています。樹高は高いもので20m以上にもなり、幹も枝も太くその樹形は無骨な感じを受けます。若い時期の樹皮は灰褐色で刺がありますが、生長するにつれて刺が無くなって黒褐色となり縦に深く裂けてきます。[1][2][3][4]

 葉は枝先に集まり、その葉身は10〜30cmと非常に大きく、先端が5〜9に分裂します。葉柄も長く10〜30cmになります。7〜8月、枝先に目立たない小さな花を多数咲かせます。直径3〜5mmの球形の果実が10月頃に黒く熟し、落葉した後も年を越します。ただし豊凶に差があって、長いと3〜4年の間隔で豊作の年が訪れることもあります。

耐寒性と耐陰性

 ハリギリは暑さにも寒さにも強いそうです。冬芽はマイナス70度まで耐えられるとのことで、北海道全土だけでなくサハリンにまで分布しています。果実は鳥に食べられ、種子は糞と一緒に排泄されるため広範囲に種子が移動できることになります。環境への適応能力と移動能力の高さが分布域の広さに繋がっていると考えられます。[5]

 ハリギリの稚樹は耐陰性が強く、何かの影響で周囲の樹木が倒れるなどによって陽が当たる環境になると(ギャップの形成)、一気に生長します。ギャップの形成前後の生長量(年輪の幅)比は1.8〜8.5(平均3.7)あったという研究報告もあります。ただし、耐陰性が強いものの、陽が当たらない環境が長く続くと光合成による生産よりも呼吸による消費が増して自らを維持できなくなり枯れていきます。鳥に食べられず母樹から落下した種子は果肉に含まれる発芽抑制物質によって休眠種子となります。このような性質からハリギリは分布域が広範囲であるものの純林を作ることがまず無く、林内に点々と存在しています。[6]

山菜として

 材は、気乾比重が0.5前後と中庸であり、また柔らかいため加工がしやすいのが特徴です。木肌が白く、木目が美しいため内装用の合板や羽目板、ケヤキの代用として盆や器などにも用いられています。昔は洗濯板や算盤枠、下駄材にも利用されてきたようです。また、その新芽は山菜としてタラの芽と同様に天ぷらになどして食されます。その名は、材がキリに似ていて刺があることによると言われています。[7][8]

参考文献
  1. 林将之(2004)『葉で見わける樹木』小学館
  2. 茂木透ら(2009)『樹に咲く花―離弁花(2)(第2版)』山と溪谷社
  3. 上原敬二(1959)『植物大図説』有明書房
  4. 林将之(2009)『樹皮ハンドブック(第2版)』文一総合出版
  5. 渡辺一夫(2010)『アセビは羊を中毒死させる』築地書館
  6. 石川幸男(2001)『針広混交林構成種稚樹の閉鎖林冠下および林冠ギャップ内での成長』「環境科学研究所報告」8、pp.291-296
  7. 伊東隆夫ら(2011)『日本有用樹木誌』海青社
  8. 農商務省山林局(1912)『木材ノ工藝的利用』大日本山林會

Gallery

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樹形

旭川市嵐山(July 22, 2012)

北海道から沖縄にかけて、冷温帯だけでなく暖温帯まで広く分布していて、山地から低地の雑木林まで特に肥沃な土地に生えています。

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冬芽

旭川嵐山公園(Dec. 8, 2012)

葉は枝先に集まり、その葉身は10〜30cmと非常に大きく、先端が5〜9に分裂します。

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新芽

旭川嵐山公園(May 26, 2013)

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筑波実験植物園(May 20, 2011)

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果実

勇払原野(Sep. 21, 2013)

直径3〜5mmの球形の果実が10月頃に黒く熟し、落葉した後も年を越します。

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樹皮

小石川植物園(Feb. 20, 2011)

若い時期の樹皮は灰褐色で刺がありますが、生長するにつれて刺が無くなって黒褐色となり縦に深く裂けてきます。

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断面

東大北海道演習林(June 6, 2012)

Property
分 類
和名 ハリギリ(針桐)
別名 センノキ
学名 Kalopanax septemlobus
(Syn. Kalopanax pictus)
セリ目(Apiales)
ウコギ科(Araliaceae)
ハリギリ属(Kalopanax)
分布 日本、サハリン、朝鮮半島、中国
国内 北海道、本州、四国、九州、沖縄
用途 食用(若芽)、建築材、家具材
特 徴
針広 広葉樹
常落 落葉樹
樹高 高木
葉形 単葉(分裂)
葉序 互生
葉縁 鋸歯
雌雄 雌雄同株(両性花)
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