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トベラ
Pittosporum tobira

 東北地方南部から沖縄の海岸にある低木林内や岩場に生えています。根元から枝分かれしやすく樹高は2〜3mほどまでですが、一部には8m近くになるものもあるようです。樹皮は淡褐色で滑らかです。葉は長さが5〜10cmで葉柄側が細くなる倒卵形で、見た目は携帯型の靴べらに似ています。4〜6月に白い小さな花を多数咲かせ、芳香を出します。雄花には退化した雌しべが、雌花には退化した雄しべがあります。直径1.5cm程度の果実が11〜12月に灰褐色に熟して割れ、表面が粘つく赤い種子が顔を出します。鳥のくちばしや羽、足などに付いて種子が散布されると考えられています。[1][2][3]

ワックスによる対塩性

 葉は裏側に巻き気味になり、また肉厚でワックスが付き光沢があります。これは波や激しい風によって海から吹き付けられた塩水を振り落とし、乾燥を防ぐ作用があると考えられています。これによって海岸における生存確率がトベラは他樹種よりも高まることになります。実際のところトベラの光合成速度は常緑広葉樹の中位にあるようですが、土壌が乾燥すると他の樹種はすぐに光合成速度が著しく低下するのに対して、トベラはそれほど低下しないという研究結果もあります。[4][5]

魔除けとして

 花の香りが甘くて良いのに対して、枝や葉は臭いがあって、燃やすと悪臭を放ちます。昔は、竹さおの先に竹かごを付けその中にトベラを入れたり、家の出入口の扉にトベラをかけたりして、厄除けや魔除けにしていたそうです。トベラの語源もその「扉」からきていると考えられています。[6]

参考文献
  1. 林将之(2004)『葉で見わける樹木』小学館
  2. 茂木透ら(2009)『樹に咲く花―離弁花(2)(第2版)』山と溪谷社
  3. 上原敬二(1959)『植物大図説』有明書房
  4. 渡辺一夫(2010)『アセビは羊を中毒死させる』築地書館
  5. 増田拓朗ら(1990)『土壌水分条件の違いがシャリンバイおよびトベラの光合成・蒸散速度に及ぼす影響』「造園雑誌」53(5)、pp.121-126
  6. 野口英昭(1995)『静岡県樹木名方言』朝日新聞社

Gallery

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樹形

筑波実験植物園(May 20, 2011)

根元から枝分かれしやすく樹高は2〜3mほどまでです。

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雄花

筑波実験植物園(May 20, 2011)

4〜6月に白い小さな花を多数咲かせ、芳香を出します。

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筑波実験植物園(May 20, 2011)

葉は長さが5〜10cmで葉柄側が細くなる倒卵形で、見た目は携帯型の靴べらに似ています。

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未成熟果

筑波実験植物園(Sep. 23, 2011)

直径1.5cm程度の果実が11〜12月に灰褐色に熟して割れ、表面が粘つく赤い種子が顔を出します。

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種子

北の丸公園(Nov. 22, 2011)

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樹皮

筑波実験植物園(May 20, 2011)

枝や葉は臭いがあって、燃やすと悪臭を放ちます。

Property
分 類
和名 トベラ(扉)
学名 Pittosporum tobira
セリ目(Apiales)
トベラ科(Pittospraceae)
トベラ属(Pittosporum)
分布 日本、朝鮮半島、中国、台湾
国内 本州、四国、九州、沖縄
用途
特 徴
針広 広葉樹
常落 常緑樹
樹高 低木/小高木
葉形 単葉(不分裂)
葉序 互生
葉縁 全縁
雌雄 雌雄異株(単性花)
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