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ミズキ
Cornus controversa

 雑木林や山地の麓など様々な場所に点在して生えています。高さは10~20mになり、枝振りが団扇を階段状に重ねたような形になります。樹皮は灰褐色や灰黒色で縦に浅い裂け目が入ります。葉は長さ6〜15cmの幅の広い卵形や楕円形で、先端が急に尖ります。葉脈が明確で、側脈は長く伸びて縁に沿って流れます。5~6月に小さな白い花を多数咲かせます。直径6〜7mmの球形の果実が6〜10月には黒紫色に熟します。開花時の花序の枝は緑色ですが、果実が熟す頃になると赤味を帯びてきます。[1][2][3]

鳥と繁殖の関係

 ミズキの種子は鳥によって散布される代表的な種です。ついばみやすいように上を向いた果実をヒヨドリなどの鳥が好んで食べ、糞と一緒に排出されることで散布されます。ところが面白いことに本種の果実は熟すとすぐに落果しやすく、全体の8割は鳥に食べられずに落果してしまうそうです。消化されるのは内果皮よりも外側の軟らかい部分であり、散布されるのは内果皮が残された果実です。散布された種子は9年後でも発芽することができ、ギャップの形成を待ち続けます。ミズキは陽樹であり生長が速く、樹高を優先的に上げるため40年生で胸高直径40cm、樹高が20mに達した個体もあるそうです。北海道や標高の高い場所などの寒冷地での生長速度は競合多種に比較して遅く陰樹並みであり、中下層に存在していることが多いです。これは上層になって厳しい気候の洗礼を受けずに下層へ逃げたものと考えられます。[4][5][6]

材質

 材は白く年輪がはっきりとしていません。緻密でやや硬めですが、切削などの加工がしやすく塗装の仕上がりも良いです。一方で保存性は低く、樹齢を重ねると立ち木の状態で芯部が腐朽菌によって腐ってしまうことも多いようです。鉢などのろくろ細工、寄木細工,漆器の木地,箸などに使われています。また東北地方のこけしは本種が多く用いられます。アイヌは神に捧げる祭具であるイナウにミズキを用いていました。本種のイナウは神の国では銀のイナウになるとされ、重宝がられました。その名は春に枝を切ると樹液が流れ出てくるためと言われています。[7][8]

参考文献
  1. 林将之(2004)『葉で見分ける樹木』小学館
  2. 茂木透ら(2009)『樹に咲く花―離弁花(2)(第2版)』山と溪谷社
  3. 上原敬二(1959)『植物大図説』有明書房
  4. 渡辺一夫(2009)『イタヤカエデはなぜ自ら幹を枯らすのか』築地書館
  5. 日本樹木誌編集委員会(2009)『日本樹木誌(1)』日本林業調査会
  6. 渡邊定元(1994)『樹木社会学』東京大学出版会
  7. 伊東隆夫ら(2011)『日本有用樹木誌』海青社
  8. 福岡イト子(1995)『アイヌ植物誌』草風館

Gallery

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樹形

筑波実験植物園(May 20, 2011)

雑木林や山地の麓など様々な場所に点在して生えています。

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筑波実験植物園(May 20, 2011)

5~6月に小さな白い花を多数咲かせます。

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果実

開花時の花序の枝は緑色ですが、果実が熟す頃になると赤味を帯びてきます。

葉脈が明確で、側脈は長く伸びて縁に沿って流れます。

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樹皮

小石川植物園(May 4, 2011)

樹皮は灰褐色や灰黒色で縦に浅い裂け目が入ります。

Property
分 類
和名 ミズキ(水木)
別名 クルマミズキ(車水木)
学名 Cornus controversa
(Syn. Swida controversa)
ミズキ目(Cornales)
ミズキ科(Cornaceae)
ミズキ属(Cornus)
分布 日本、朝鮮半島、中国、台湾、インドシナ、ヒマラヤ
国内 北海道、本州、四国、九州
用途 器具材
特 徴
針広 広葉樹
常落 落葉樹
樹高 高木
葉形 単葉(不分裂)
葉序 互生
葉縁 全縁
雌雄 雌雄同株(両性花)
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