ほぼ日本全国の山地などに自生している日本固有種です。
キブシ
Stachyurus praecox
北海道(南西部)から本州、四国、九州まで太平洋側から日本海側のほぼ日本全国の山地などに自生している日本固有種です。樹高は2〜4mほどで、若いうちは細い幹が1本のひょろりとした木ですが、生長すると立派な株立ち樹形になります。葉が展開する前の3〜4月、垂れ下がった花序に雄花は淡黄色、雌花はそれに若干緑色がかった複数の花を咲かせます。果実は少し楕円状となった球形の液果で、7〜10月になると緑色から黄褐色に熟します。長さが6〜12cmの葉は長楕円形から卵形まで、また葉の裏も無毛から目立つほどの毛があるものまで地域によって変異が多いのが特徴です。樹皮は赤褐色から暗褐色で、特に若い枝ほど皮目が目立ちます。[1][2][3]
不安定な性と多様な変異
キブシは雌雄異株であり単性花ですが、雌花には機能を果たさない退化した雄しべがあります。一方の雄花には退化した雌しべがあるものの、まれに結実することもあって両性花とも言えます。また、雌花と雄花が混在している花序も確認されていて、性の不安定なところが面白いです。北海道から鹿児島、伊豆諸島まで国内に自生しているキブシ105個体の葉緑体DNAを分析して系統地理的構造を調査した論文があります。これによると北海道南西部から東北、北陸から近畿、中国四国と九州北部にかけて広範囲に自生しているグループ。関東地方から近畿四国の太平洋側のグループ。西日本太平洋側のグループの3つの系統に大きく分けられることがわかりました。細かく分けると11に区分けされ、変異が多いのもうなずけるところです。ここでは広義のキブシを説明していますが、狭義で見ると、小枝が太く花序が長いナンバンキブシ(Stachyurus praecox var. lancifoplius)、葉が大きく花序の長いハチジョウキブシ(Stachyurus praecox var. matsuzakii)やエノシマキブシ(Stachyurus praecox var. ovalifolius)。多雪地方で葉の裏に毛の多いケキブシ(Stachyurus praecox f. leucotrichus)。葉の小さいコバノキブシ(Stachyurus praecox f. microphyllus)などがあります。日本固有種と書きましたが、韓国南部にある全羅南道莞島郡の無人島にて海岸線に沿って200本以上のキブシが生育しているのを確認しています。最も大きいもので根本の直径が23cm、樹高8mだったそうです。「キブシ」の名の由来は、ヌルデの五倍子を代用する黒色染料として果実を利用したためと言われています。[4][5][6]
Gallery
葉が展開する前の3〜4月、垂れ下がった花序に雄花は淡黄色、雌花はそれに若干緑色がかった複数の花を咲かせます。
7〜10月になると緑色から黄褐色に熟します。
長さが6〜12cmの葉は長楕円形から卵形まで、変異が多いのが特徴です。
樹皮は赤褐色から暗褐色で、特に若い枝ほど皮目が目立ちます。
Property
| 分 類 | |
|---|---|
| 和名 | キブシ(木五倍子) |
| 別名 | キフジ |
| 学名 | Stachyurus praecox (Syn. Stachyurus praecox f. rotundifolius) (Syn. Stachyurus lancifolius) (Syn. Stachyurus praecox var. ovalifolius) (Syn. Stachyurus praecox var. matsuzakii) (Syn. Stachyurus praecox var. lancifolius) (Syn. Stachyurus matsuzakii) |
| 目 | クロッソソマ目(Crossosomatales) |
| 科 | キブシ科(Stachyuraceae) |
| 属 | キブシ属(Stachyurus) |
| 分布 | 日本 |
| 国内 | 北海道、本州、四国、九州 |
| 用途 | |
| 特 徴 | |
|---|---|
| 針広 | 広葉樹 |
| 常落 | 落葉樹 |
| 樹高 | 低木/小高木 |
| 葉形 | 単葉(不分裂) |
| 葉序 | 互生 |
| 葉縁 | 鋸歯 |
| 雌雄 | 雌雄異株(両性花/雌花) |