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シキミ
Illicium anisatum

 東北地方南部から沖縄まで、山地の林内に生えています。樹高は2〜5mほどになり、樹皮は灰褐色です。側脈が判別しにくく肉質の葉は葉身が4〜10cmの楕円形で先半分の方が幅が広くなります。シキミの葉や樹皮は抹香や線香の原料にされており、油点のある葉をちぎると強い香りがします。3〜4月に10〜20の花被片を持つ黄白色の両性花を咲かせます。雌しべが別々に約8本あり、被子植物の中でも原始的な特徴を残しているとされています。果実は9〜10月に熟します。[1][2][3]

雌性先熟

 ある個体において花粉を出す時期と柱頭に花粉が付く時期が時間的にずれることを雌雄異熟といいます。シキミはこの雌雄異熟です。雌期は雌しべが外側に広がり、雄期は雌しべがひねるようにして中央に集まります。雌期の次に雄期がくる場合を雌性先熟と呼びます。

劇物に指定された植物

 その名の由来が「悪しき実」と言われているように、シキミの特徴はその毒性です。全株、特に種子に神経毒のアニサチンが含まれており、誤飲した場合には嘔吐、けいれんといった神経障害症状を呈します。やっかいなのは、本種の果実が香辛料のスターアニス(八角)にそっくりなことです。実は同科のトウシキミの果実がスターアニスなのですが、こちらは毒がありません。過去にも間違えたためによる中毒事例が発生しているそうです。ちなみに植物としては唯一、毒物及び劇物取締法においてシキミの実が劇物に指定されています。仏前に供える花として用いられるなどしており、お寺や墓地、また神社に植えられていることが多いです。材は桃色から茶色をしていて寄木細工に、材の弾力性を利用して洋傘の柄に用いられたこともあるようです。[4][5][6]

アニサチン(C15208

参考文献
  1. 林将之(2014)『樹木の葉』山と溪谷社
  2. 茂木透ら(2006)『樹に咲く花―離弁花(1)(第4版)』山と溪谷社
  3. 上原敬二(1959)『植物大図説』有明書房
  4. 佐竹元吉ら(2012)『日本の有毒植物』学研教育出版
  5. 農商務省山林局(1912)『木材ノ工藝的利用』大日本山林會
  6. 伊東隆夫ら(2011)『日本有用樹木誌』海青社

Gallery

樹形
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樹形

仙台市(Apr. 5, 2025)

東北地方南部から沖縄まで、山地の林内に生えています。

樹形
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樹形

小石川植物園(Feb. 20, 2011)

葉
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多摩森林科学園(June 19, 2010)

葉の長さは4〜10cmの楕円形で先端の方が幅が広くなります。

花
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仙台市(Apr. 5, 2025)

3〜4月に10〜20の花被片を持つ黄白色の花を咲かせます。

雌期の花
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雌期の花

雌期は雌しべが外側に広がります。

雄期の花
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雄期の花

雄期は雌しべがひねるようにして中央に集まります。

果実
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果実

筑波実験植物園(Sep. 23, 2011)

種子に神経毒のアニサチンが含まれており、誤飲した場合には嘔吐、けいれんといった神経障害症状を呈します。

樹皮
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樹皮

筑波実験植物園(Apr. 3, 2011)

樹皮は灰褐色です。

Property
分 類
和名 シキミ(樒)
別名 ハナノキ(花木)
学名 Illicium anisatum
(Syn. Illicium religiosum)
アウストロバイレヤ目(Austrobaileyales)
マツブサ科(Schisandraceae)
シキミ属(Illicium)
分布 日本、台湾、中国
国内 本州、四国、九州、沖縄
用途 香剤
特 徴
針広 広葉樹
常落 常緑樹
樹高 小高木
葉形 単葉(不分裂)
葉序 互生
葉縁 全縁
雌雄 雌雄同株(両性花)
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